街は世界の凸凹を隠すように、10進数みたいに真っ直ぐ連なっている。
春の陽気に乗って香るクヌギの匂いは僕の孤独を強調したけれど、聳える家々が僕を一人にはしないのだった。
イヤホンではずっと希望の歌が流れていて、孤高に浸る暇もない。そこには道標がある。光るアナロジーを持って僕は歩いた。
我々は幸福の落とし子。
だからこそ痛覚に走るのは悲しみだけだった。
街並はそこに無言で在る。
忸怩たる思いを持つことは正義だ。
星々の規律と砂の鼓動。全ては一粒の思いから生まれるスライムみたいなものだ。
今日も朝まで一番星が輝いていた。