ガラスの大地

詩や日記を書きます

2021-01-01から1年間の記事一覧

日記:幸せの定義

12月31日が近づいてくると、ぼくらの情緒は緩やかに崩れていく。 たぶん冬の冷たい空気が、一年の終わりへと向かう社会が、愛情との団欒を推し進める世間が、独り身の寂しさを加速させるのだろう。 ぼくはそんなとき、コンビニでホットコーヒーとタバコを買…

ブルーなたましい

終わりの空は青いです 汚れた眼鏡をかけていてもその空は青く見えます おうちに向かってわたしは歩きました たぶん歩きました ひとりでわたしは歩きました 今日の空気は変な味がします 切なメロディの味です すっごく苦いけど、ちょっとだけしょっぱいです …

もえない

凍りついたラブソング 口の溶けたコリドラス 湿って火のつかないコンビニ花火 盗まれたビニール傘 グレイの朝焼け 白痴のわたし/あなたを許してください

日記:隣人愛

バイト先のスリランカ人が国に帰るらしい。 なんでも母の体調が芳しくないとかなんとか。 彼は日本語も堪能で、日本にいる多くの外国人労働者の例に漏れず真面目で、ときおり異国情緒あふれる態度をとる。 ぼくはそんな彼が好きだった。 半年ほど前にもネパ…

すきまかぜ

盗難された赤い歯車 それは甘美なライセンス ふよふよ ふよふよ わたしたちの間を漂う透明な影 心臓はそれを知っている これは? 光 それって? 闇を照らす見えない灯 宇宙はどこまでも思わせぶりで 時空のまばたきでなにもかもを奪っていく それは余す所な…

S・Z

心臓がふたつあればよかった 鼓動が重なれば時をとめる必要がないから 低音を響かせる空からくるあなたを、うけとめられると思ったから 歯が痛い 鱗を剝がしたい 肉をそぎ落として、骨を切り出して、あなたの心の在りかを探したい どうにでもできると僕は思…

あふるる

六月 風の匂いを感じる22時 ほんの少しだけ肌寒い夜に 缶ビールを飲みながら川沿いを歩く 公園では枯れかけたハルジオンと満開のアジサイが同居していて 出所不明の寂しさが唐突にやってくる それを振り払うように空き缶を投げ捨てた たばこを吸おうとしたけ…

gray

「逃げようよ」と彼に言った 彼は暗い夜の灰色をした瞳をこちらに向けて 「いやだよ」 と一言呟いた ぼくはもうこんなところに居たくなかったのに、彼はどうしても動いてはくれなかった 「ここは俺たちの聖域なんだ。だから俺は逃げない。逃げる必要がないか…

I KOU

あなたが譲ってくれるのなら、わたしはそれでもよかった だれにでも等しくあるものじゃないから だからわたしは息を呑むように生きた だれかが私に譲ってくれるまで待った でもやっぱり誰も手放そうとはしてくれなくて それは本当に大切なもののようで わた…

Light in the calm 凪の中の光

光で出来た鮒が一葉一葉に住み着いて群を作っていた 木々たちはそれを許し、彼らに餌を与えた 規則正しく列を成して泳ぐその魚たちはまるで押し引く波のように木々の中を縦横無尽に泳いでいる 凪の中にあっても魚たちはゆったりと泳いだ 私は光の中に釣り系…

失われた環

振り千のダイス プレゼント・デイズ 信頼の証 死んだ愛の証 君の鼓動はAメロ 破滅の才能はBメロ Can you freeze me? Can you kiss me? Can you kill me? 優しく終わりを告げて

C・ジャーニー

遠い空からの声を聴いて無限の扉が生まれた (どーん どーんと地響きが鳴る) 湧き出す清流がごとく慈しみの心を、私はくべた 扉の鍵は閉まったままで杏の花が不格好に枯れた 枝についた柿は怯えた表情でこちらを見てる (どーん どーんと地響きが鳴る) コ…