ガラスの大地

詩や日記を書きます

すきまかぜ

 

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盗難された赤い歯車

それは甘美なライセンス

ふよふよ ふよふよ わたしたちの間を漂う透明な影

心臓はそれを知っている

 


これは?

それって?

闇を照らす見えない灯

 


宇宙はどこまでも思わせぶりで

時空のまばたきでなにもかもを奪っていく

それは余す所なくトキシック

小さな石盤に刻まれたささいな傷

きっと星々は気にも留めないだろう

銀河の切れ端 怠惰な天の川 有言不実行のセブンスター

 


期待外れの後遺症は永遠に続く

それは一枚のペーパーに書き込まれた出口のない迷路

 


君は信じる?

ううん、ぼくは見たことがないから

わたしも

 


狂おしいほどに刻まれた理解不能の因子

選択する術を持たないクマムシ

頭上を徘徊するメメントモリ

あなたを恨むにはまだ早すぎた

 


すっ飛ばされた秋が 身を滅ぼすだけのぼくを待っている

彼女はニコニコ笑顔で壇上から手を振る

フリルのスカートに花柄のシャツを着て

どんぐりの歯をカチカチと打ち付け合いながら

ぼくを見て

彼女はニコニコ笑顔で壇上から手を振る

 


以心伝心 鼻歌 隣人愛

なんの意味もない詩

自己肯定のポップミュージック

ヒトデの行進

逃避したらしい誰かの遺骨

宝物 仕舞い込んでいた心

空から振るグレイの稲妻

ひび割れたプールサイド

 


その涙目にはなにも映っていなかった