ガラスの大地

詩や日記を書きます

2022-01-01から1年間の記事一覧

曖 眛 me mine

太った女が高架下で音楽を聴いていた 仏頂面で僕に手招きをしているが、僕はそれを煙草を吸いながら冷たい笑顔で見返している 僕はここにきた理由を思い出そうとした でも全く思い出せなかった 女が決意めいた表情をしていたのでいろいろと聞いてみようとお…

日記 : お惨めですわ〜

負の感情こそが創作の糧とはよく言ったもので、僕が文章を書きたいなと感じるときはいつも何か思うところがあるときだけだ。 こうしてブログに書き連ねるのも、そもそもTwitterで呟いたり友達にLINEで愚痴ったり、そんなことをしても気持ち悪いだけでミュー…

HIRAETH:①

子供のころ、僕の家には質の悪い紙しかなかった。強く書き込めば穴が開くし、消しゴムで擦ればすぐ破れてしまうような柔らかい紙だった。僕はそんな紙にいろいろな絵を描いたり、漢字の練習をしていた。その頃の東京は長く続く雨の影響でインフラなども全部…

口だけでも。

鏡を見ると俺は実に嫌な顔をしている。まさに下卑た無知そのもので、まだ見たこともない嫌いな誰かにそっくりだ。顔を洗って歯を磨いて、一応その顔と決別する。ヒゲを剃って顔に化粧水を塗って。俺が俺の嫌いな人間にそのまま成り下がらないよう誤魔化すた…

日記 : 六月は雨が多い。

日々の体調が低気圧の気分次第で躁にも鬱にもなる六月。体表は湿気で汗ばみ、毎日スーツで出社するぼくの気分もだんだん湿ってくる。 雨が降らずとも、これでもかとデカく育った灰色の雨雲を見ていると、確かに鬱々とした気持ちになるものだ。 紫陽花でも見…

日記 : どこからきて、どこへ行く

心にあるわだかまりを言葉にするのは実に難しい。 喜怒哀楽を表現する言葉はたくさんあるはずなのに、自分の心を表現するぴったりの単語はいつも思いつかない。 暗い気持ちに囚われてはいるものの、完全に真っ暗というわけでもなく、少しの希望も残っている…

可解

車窓から覗く大きな月を眺めていると、僕らの辛さはますます大きくなる気がした。思い出と呼ぶには甚だ不愉快な記憶たちは、事あるごとに僕を責めたてる。その辛さを思い出す度、僕は喉元まで迫り上がった叫びを飲み込む。母が言っていた。現世の辛苦は前世…

はい

ぼくらは息をする 受け取った涙を落とさないために ぼくらは息をする 眩む陽光から目を背けないために ぼくらは息をする 後悔がこちらからはなれるように ぼくらは息をする 誰も彼もが、笑顔になれるように

陽闇に座す

街は世界の凸凹を隠すように、10進数みたいに真っ直ぐ連なっている。 春の陽気に乗って香るクヌギの匂いは僕の孤独を強調したけれど、聳える家々が僕を一人にはしないのだった。 イヤホンではずっと希望の歌が流れていて、孤高に浸る暇もない。そこには道標…

日記:モラトリアム終了

「新年度」という言葉に対し、これほどまでに爽やかさを感じないのは人生で初めてである。 去年の12月には就活も終わり、6年のモラトリアムに終止符を打つべく4月まで楽しみ尽くすつもりの僕だったが、12月時点で僕の青春は終わりを迎えていたように思う。 1…

エイリアン

失われたはずの私の海を取り戻すために、環状8号線に自転車を漕ぎ出した。 私の声にならない悲鳴は宇宙では響かない。 後悔、無念、誰も何も知らず。 煌々と光るガソリンスタンドの灯が私の海を呼び戻しているような気がして少し立ち止まり、また振り返る。…

日記 : 人が生きる

今日ロシアがウクライナに宣戦布告をした。 (断っておくが、僕は政治の話をする気は毛頭ないし話せるほどの知識もない) EUだとかNATOだとかアメリカや中国の思惑だとか、多分たくさんの現実が重なって起きた出来事なんだろう。よくわからないけど。 僕の住…

肺を刺す2月の冷たい雪の匂いが僕を目覚めさせた。PCデスクの上には氷の溶け切ったアイスコーヒーが置かれていて、眠気覚ましに一気に飲み干したけれどまだ頭はボーッとしている。 窓の外を見やると昨晩から降り続く雪が、びしゃびしゃなものからふわふわな…

eu Y ul

ファンタジーの向こう側にある茫漠の海を、僕は確かに求めていた それを一目見ることさえできれば何もかもは許されるのだと思ったからだ しかし結末としては、そこには拳程度の暗い暗い小さな穴が一つ空いているだけで、僕たちは振り返らずに進んでいったか…

日記:俺は松田翔太じゃない

コロナが世界で猛威を振るい始めてからもう2年近くになる。 大学もオンライン講義に移行して、部屋から一歩も出ない日が増えた。僕は4年生だったから就職活動もオンライン上でほとんどこなし、去年の12月にようやく内定を取ってあとは大学をきちんと卒業する…