失われたはずの私の海を取り戻すために、環状8号線に自転車を漕ぎ出した。
私の声にならない悲鳴は宇宙では響かない。
後悔、無念、誰も何も知らず。
煌々と光るガソリンスタンドの灯が私の海を呼び戻しているような気がして少し立ち止まり、また振り返る。一生を捧げるには少しだけ暗い。
過ち、傷跡、誰も何も知らず。
バラバラにされた私のあれやこれやを背負い込んで、つぎはぎの昼夜。見知らぬ引力に導かれるまま道なき道を進む。海からはもう血が流れない気がする。
交歓、祝福、誰も何も知らず。
約束を違えたあなたを思って詩を書く。言葉にならない言葉を紡ぐ不器用な指を一本ずつ折っていく過程はどうにも気分がいい。贖罪を果たし、介錯を受け入れる。腹八分目まで飲み込んだ針が千本に達するまであと少しだ。
後悔、無念、誰も何も知らず。
過ち、傷跡、誰も何も知らず。
交歓、祝福、誰も何も知らず。